さて、いよいよ。
「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】」です。
僕は初演の「覇道泰平【蝕王編】・【偽王編】」を終えた時に、
お客様から「風龍の活躍はないのか?」「孫呉はどこいったんだ?」
とお話していて、
「続編を作る気はありません!!」と
声を大きく応えたのを覚えております。
「覇道泰平」のコンセプトが異なる2つの視点からの物語。
劉備の悪さを「見せて話を進める【偽王編】」「見せずに話を進める【蝕王編】」
というもので、終わった直後は特に続編を作れる余地がなかったんですよね。
でも、1年半後には、【偽王編】・【蝕王編】を一本にした【偽蝕王編】
とその後の話を描いた【真王編】を上演することになったんですね。
この上演に踏み切ったのは、お客様の声と、
為房が演じた劉備の悪辣さ。
劉備と言えば
「ぼぉっちゃぁん!!」とか
「嘘だよぉ、ばぁか!!」小さい母音が伸びるイメージ。天下一品でいうとこの
"こってりにんにく入り"な感じになってますけど、
脚本の段階では、というか僕の初期イメージはリチャードⅢ世ですからね。
もっとネクラで、陰湿な、劣等感の男ですからね。
全然ちがーう、全然ちがーう。
…でもいいんです。それが、人と芝居を作るってことですから。
自分の創造力を超えてもらう。創作の中で一番楽しい行程です。
そんな劉備の悪辣さを見たくて続編【真王編】は生まれました。
それに僕は三国志では「呉」が一番好きですから。
そして、【真王編】で、劉備・曹操・孫権の三つ巴になり。
これでおしまいと思っていたんですよ。
そしたら、悪い奴が、
「俺、まだ国作ってない、
三国志になってない、
俺、まだ死んでない」とか言うんですよ。
確かに劉備が歴史上、国を作る前で【真王編】は終わってます。
曹操、劉備、孫権が国を作ってからを本来、三国志と言うんですね。
でも、「覇道泰平」の劉備とか、国作るの一瞬じゃん、カタルシスないじゃん。
(本来の歴史はめっちゃ苦労した)
って返したら、
「まだ、司馬懿も出てない」とか言うんです。
あたしゃいいましたよ。
「続編を作る気はありません!!」と。
そして、
クラウドファンディング。みなさまにすべてが託されたのです。
クラウドファンディングが100%を超えた瞬間は、
東京で「覇道泰平」の稽古をしていた時で、
劉備役の為房・曹操役の出田・孫権役のすてらがハイタッチをしていて、
僕はなんだか龍に踊らされている気分になりましたよ。
割と冷静に作品を作ってるつもりなんですが、
覇道の曲を聞いては【護王編】のシーンを想像して
勝手にグッと来ている自分もいて、
スタッフさんに「落ち着け、詰め込み過ぎだ。」と気づかされ
覇道落ちを回避したり、試行錯誤を続けながら作品を作ってます。
井上ひさし先生の言葉を反芻しつつ…
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」劇団ZTON 10th Anniversary「覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】」
いよいよ、来週1月27日(金)からです!! [7回]